わが国の住まいの事始とされる縄文式のうち柱を持った竪穴住居は、地面を掘り下げ、柱を立て草屋根を葺くことから始まりました。
石の建築は、「積む文化」といわれます。これに対し、木の建築は「立てる文化」といわれます。まず、両者の違いを知っておきたいと思います。
石の建築は、ひたすら石やレンガを積み続けることが基本です。 あのパリのノートルダム寺院も、石を積み上げて出来たものです。この建築は、窓を開けることに難がありました。窓は積んだ石を穿つことで生まれました。一旦できた石の壁を、ノミなどで穿つというわけではありませんが、西洋人にとって窓は、多分にそういう気分のものでした。窓を開けるために、西洋の建築屋は苦闘します。その結果生まれたのがアーチという技法でした。 この技法を開発する過程では、崩れてきた石の下敷きに何度なったことでしょう。石を積み上げて、窓を設けることに西洋人は血道をあげて闘ったのです。
ドイツのドレスデンは、ベルリンからIC(国内特急便)で11時間二十分の距離にあります。ドレスデンは、ザクセン王国の首都として栄華をきわめ、かつてはドイツのフィレンツェと呼ばれる都市です。
しかしこのドレスデンは、第二次大戦末期、酷い空襲を受け、都市は壊滅的ともいえる破壊を強いられました。残されたのは瓦礫の山でした。
ドレスデン市民の戦後復興は、この瓦礫の山を1つ1つ整理分類し、元の形に復元することでした。
18世紀のバロックの傑作といわれるツビンガー宮殿(1732年)は、そうして原型通りに完全に復元されましたし、今ドレスデンでは、中央駅(1898年)が再建されていますが、戦禍で残った膨大な瓦礫を、棚にきれいに整理、分類して、主材として用いられています。
とにかく延々として積み上げるのが石の建築です。ミラノのドーモの教会は600年を経て、未だ建築中です。このあたりの執念は、日本人には到底理解し難いものですが、ヨーロッパの人にとって建築とは、そういうものなのです。
石の建築が、崩壊という言葉で表されるのに対し、木の建築は、倒壊という言葉で表されます。石の建築は、打撃を受けると崩れます。崩れたものは拾い集めて、元のように積み上げれば復元されます。しかし、木の建築は倒れると、幾らか元の材料を使えるとしても、倒れる過程で生じた損傷が大きく、また灰燼に帰したりして、同じ材料をそのまま用いることはまれです。それよりも、新しい材料を用いて復元する方が現実的と考えられました。
伊勢神宮の式年遷宮は、二十年に1回、再築が繰り返されます。旧殿に使用された用材は、全国の神社の造営等に再利用されますので、廃棄されるわけではありませんが、それでも石の建築のように悠久のものではありません。木はいずれ朽ちるものであり、「方丈記』が記すように、「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」です。この流転し、輪廻する精神性に、歴史の悠久をみるのが木の文化です。
むろん、法隆寺にみるように、木の建築は千年以上の歴史を誇るもの(創建法隆寺に用いられた檜材にカンナを掛けると、今でもプーンと香り立つ)でもありますが、普通の建築は、だいたい木が育った年月を生きるというのが、木の建築です。
日本は火山性土壌なので石はあまり産出されませんでした。しかし、夏の気温が高く雨が多いので木(檜、杉・松・欅など)はよく育ちました。日本の木の特長は、きめが美しくて強度を持ち、加工が楽という利点を持っていることです。
建築に適した木を用いて、それを突っ立て、その上に草屋根を葺いたのが日本の建築ですが、壁は開いていますので、窓を設けるのは自由自在でした。日本の開放的な空間は、柱を立て屋根を葺く建築法によって実現されたのです。屋根は、建物のてっぺんにあるのに屋の根と書きます。大地からすくっと立てられ、大地に根付いているから「屋根」なのです。
石は積み上げて行くことで、建物を高く築きます。木は長さが、自ずと決まっていますので、繋いだり、組み合わせたりしなければなりません。そこで継手。倍の技術が発達しました。
伝統工法が持つ良さを継承しているウッドテックラーメン構造のフレーム(旧ロケットフレーム)の架構は、明快でシンプルです。何が明快でシンプルかというと、この架構の形態が、そのまま室内空間を表しているからです。
架構は、もともと内部に生活空間をつくるためのものだから、当然のことと考えられるかも知れませんが、実のところ、架構の持つ工法的な規則性と内部空間とが一致しない建物が、最近の建物では少なくないのです。
昔の民家の黒光りした柱や桁や梁を見上げ、次に部屋に目を落とすと、両者は一体のものとしてありました。伝統的な建築では、両者は不即不離の関係としてあったのです。しかし、現代生活を容れるために間取りが複雑化すると、この一体性が失われることになります。
壁工法や組積造の家では、閉鎖的な部屋の集合体がそのまま家をカタチづくりますが、木造軸組工法は、柱を立て、梁を架け、屋根を葺いて空間が構成されるのだから、住空間は、開放的であり得るはずです。それなのに、その良さを活かし切れなくなったのです。
ウッドワイスラーメン構法のフレームは、この日本の伝統的な建築が持つ良さを回復し、もう一度、開放的な空間を実現しようというものです。この利点を是非、設計に活かしてほしいのです。
建物は、第一に耐久性が問題です。風雨に晒され、大地の震動に耐え抜く耐久性がなければ、家は生き続けることはできません。
第二に耐用性が問題です。暮らしや家族の変化に合わせて、建物内部を変えなければ、家は生き続けることはできません。つまり、耐久性と耐用性の両方が大事なのです。
この点、昔の「田の字型」の家は、太い柱と梁によって構成され、耐久性に優れ、同時に、間取りは襖や障子で仕切られていたので、くらしの用に応えて自由に変化させることができました。つまり、躯体(スケルトン)と、しつらえ(インフィル)が分離していたから、昔の家は長生きすることができたのです。建物の短寿命が伝えられるなかで、この分離に目が向けられたのは自然の成り行きでした。
WOODWISEラーメン構造は、まさにこの要求にこたえる建築システムとして、当初から研究開発されてきたのです。
ウッドワイスラーメン構面の許容耐力 H2950㎜ W6130㎜ 梁背450㎜ 16.7kN (1層ラーメン) 壁倍率約8.5倍相当 建物の条件によって変わります。
ウッドワイスラーメンフレーム参考価格(柱、梁、梁受金物、柱脚金物(アンカーボルト含まない)、木材加工費)
1層フレーム:¥290,000(税別) 2層フレーム:¥510,000(税別) 3層フレーム:¥860,000(税別)
注:ウッドワイスラーメンフレームを使用するには、別途、構造計算が必要になります。
注:地盤の状況に応じて、基礎構造、地中梁の構造の検討が必要となります。
ウッドワイスラーメン柱脚金物RK1230(図中緑色で表示)を基礎にボルトで固定。120×300の柱をドリフトピンで固定。ウッドワイスラーメン梁受金物RH45K(図中オレンジ色で表示)を梁にボルトで固定。
ウッドワイスラーメン梁受金物RH45K(図中オレンジ色で表示)に、梁を取り付ける。
梁をドリフトピンで固定。
6×8 3F建参考プラン
6×5 平屋建参考プラン